植田日銀総裁の「時間的余裕があるという表現は使わない」といったタカ派発言により、緩やかに円高が進行した

2024/11/01

【米国】米10年債利回りが上昇しドル買いが先行したが、雇用統計の発表も控えていることから積極的取引は控えられた

為替(2024年11月1日  6時00分)
米ドル円          USD/JPY   152.02 (円)
ユーロ米ドル   EUR/USD  1.0883  (米ドル)
ユーロ円          EUR/JPY   166.41   (円)
ポンド円          GBP/JPY   198.08  (円)
ポンド米ドル   GBP/USD  1.2898  (米ドル)

 
10月31日のニューヨーク外国為替市場は、米10年債利回りが4.33%台まで上昇したことでドル買いが優勢となったが、その後は4.26%台まで低下したことで一転してドルが売られ、引けにかけてはドル売りが進んだ。アジア時間の植田日銀総裁のタカ派発言も意識され引き続き円買いは継続した。また明日は重要経済指標である米雇用統計の発表が控えていることで引けにかけては積極的な取引は控えられた。
 
米ドル円は、米10年債利回りが4.33%台まで上昇したことに伴いドル買いが強まり23時過ぎには153.04円まで上値を伸ばした。ただNYダウ平均が軟調に推移したことで上値は限定的だった。その後は米10年債利回りが4.25%台まで低下したことも嫌気され151.82円まで下押した。アジア時間の植田日銀総裁の会見で、これまで繰り返し使ってきた「政策判断に時間的余裕はある」との表現を今後は使わないとし、タカ派な発言があったことも意識され引き続き円買いが優勢な相場となった。
 
ユーロドルは、4日続伸した。欧州時間からの底堅い地合いが継続し22時台には1.0887ドルの日通し高値を付けた。その後はポンドドルの急落につれた他、欧州株安も重しとなり伸び悩んだ。25時前には1.0846ドルまで下押したが、米10年債利回りの低下が支えとなり下値は堅かった。
 
株式
NYダウ平均       USD   41,753.75           -416.91(-0.98%)
NASDAQ総合    USD   18,085.86           -534.40(-2.86%)
S&P500             USD     5,703.28           -113.62(-1.95%)

株式市場では、前日取引終了後に発表した決算が予想を下回ったマイクロソフトが大きく売られ、ハイテク株全般に売りが波及した。1日の米雇用統計を前に持ち高調整目的の売りも重なり、NYダウ平均は一時440ドル近く下げた。ハイテク株比率の高いナスダックではエヌビディアなど半導体関連株に売りが目立った。
 
債券・商品先物
米国債10年                              4.286%     (-0.014)
NY原油(WTI)     USD/バレル   70.81         (+2.01%)
NY金(COMEX)  USD/オンス   2,754.1      (-1.60%)
 

【日本】日銀金融政策決定会合では政策金利を0.25%に据え置き、毎会合ごとに利上げについては判断するとした

 
為替(17時)
10月31日の東京外国為替市場は、日銀金融政策決定会合の結果公表を前に全般で小幅な揉み合いが続いた。12時前には政策金利を0.25%に据え置くことを発表し、「経済・物価見通しが実現するならば、政策金利を引き上げ金融緩和の度合いを調整する」とした。植田日銀総裁の記者会見では「情勢の見極めに必要な時間やタイミングで予断を持っていない」「12月会合で多角的レビューを取りまとめる」とした。
 
米ドル円は、日経平均株価が反落し時間外の米10年債利回りが低下してスタートすると、153.16円まで弱含んだが、仲値にかけては買いが優勢となり153.57円まで上値を伸ばした。その後は日銀金融政策決定会合を前にして揉み合いとなった。12時前に日銀金融政策決定会合の結果公表で政策金利を0.25%に据え置く事を発表した。展望レポートでは、経済・物価見通しが実現していくとすれば引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整するとしたことを背景に、円買いが優勢となり152.04円まで下押した。
 
ユーロドルは、日銀金融政策決定会合を前に円主導の相場となることが予想されるため動意は薄く、揉み合いが続いた。なお、ラガルドECB総裁はルモンド紙のインタビューで「利下げの規模は経済データ次第」「インフレのゴールが視野に入っている」と述べた。その後は独10年債利回りが上昇して始まったことで1.0863ドルまで上値を伸ばしたが、上値は限定的ですぐに売り戻された。
 
ユーロ円は、ドル円に連れた動きで166.28円まで下押したが、東京仲値にかけては166.68円まで上昇した。日銀金融政策決定会合の結果を受けて上下に振れたがドル円の下落に連れて、下値を広げ165.01円まで下押した。節目の165円の手前では下げ渋り165.67円まで買い戻されたが、上値は重たく戻しは限定的だった。
 
債券
日本国債10年   0.945%     (-0.009)

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